item 堤剛さんのチェロ

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written 2008/11/26

書いている最中は、自分としてはもう当分これ以上のものはそうそう書けないよ、というくらい全力で仕上げたのが、コンクールのための作品だったが、時間が経過し、反省を重ね、また、新しい音楽にいろいろ接して行くうちに、前作の欠陥がよくわかってきた。
こうでなくてはいけない。自己を凌駕したいという冒険心がうずうずと高まる。新たな探究。この探究心だけが、自分の創作欲に結びつく。これがなければ停滞するだけだ。そして、「音楽上の探究」というほんとうの主題を再認識すれば、もう、コンクールのことなどどうでもいいのだ。
いままた、ピアノ独奏曲を書いているが、どうやら新しい一歩を踏み出せそうだ。私はこうして前作(コンクールのための曲)を否定することができる。
ただし、今回とてもゆっくり書いている。完成までまだしばらくかかりそうである。

ごく最近買った「チェロをめぐる日本の響き」(Vc: 堤剛さん)というCDがとても気に入っており、何度も聴き返している。
CDの内容は現代日本の作曲家の作品を集めたもの。ちなみにカバージャケットも洗練されていて美しい。さすがソニー。

  1. 一柳慧:チェロとピアノのためのコズミック・ハーモニー
  2. 佐藤敏直:バンドリの唄
  3. 間宮芳生:チェロと尺八のための「KIO」
  4. 松村禎三:祈祷歌 ー 無伴奏チェロのための
  5. 湯浅譲二:内触覚的宇宙第4番 ー チェロとピアノのための

一柳さんの作品はいつも「うまいな」と思わされるし、センスも抜群だ。最近はよく聴いているのでだいぶんその音感覚に馴染んで来たかもしれない。
佐藤敏直さんという人は知らなかったが、民謡的なところのある調べが無伴奏チェロで味わいふかく歌われ、印象的だった。
間宮さんの「KIO」はとても気に入った。今度楽譜を買って研究してみたい。
それにしても堤さんのチェロはほんとうに素晴らしい。よく歌うし、ダイナミック。傑出した演奏家だと思う。このすばらしい演奏によって、どの曲も豊かな音楽として蘇っている。これを聴いていると、日本の現代音楽もすごくいいじゃないか、と思えて来る。録音も最高クラスだと思う。堤さんのCDを今度また買ってみたい。

・・・ということで、今度は無伴奏チェロの曲を書いてみたくなった。先日からヴァイオリンのための曲を書きたいと言っていたのだが、無伴奏ならチェロの方が音域が広く、豊かな音楽を組み立てやすいのではないかという気がする。
そういえば、少年時代一番気に入っていたのはドヴォルザークのチェロ協奏曲だった。私はたぶん、チェロの音色が好きなのだろう。そこには、ピアノの音色では根本的に欠如してしまうしなやかな歌の可能性がある。
無伴奏チェロ(あるいはヴァイオリン)で作曲してみるという試みは、私の場合いつも過剰になりがちな和声を削ぎ落とし、きっと新しい地平をひらいてくれるに違いない。
・・・だがその前にピアノ曲を仕上げないと・・・。

それはそうと、北海道函館市出身の作曲家、広瀬量平さんが亡くなった。私がCDで所有している曲はいくつかしかないが、函館に住んでいた頃は、広瀬さんの音楽をよく聴いた。というのは、市内のゴミ収集車がいつも広瀬さん作曲の「函館讃歌」のテープを鳴らしてやって来るからで、函館市民はこの曲を大脳の奥にまでしみ込まされているのだ。実を言うと個人的にはあまり好きな歌ではなかったけれど。

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