item Pegasus Component - for Violin and Synthesizer (Violin: Daniele Colombo)

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written 2022/8/12

MP36.8MB YouTube (TIME: 5:38)

 コンピュータに制御されたシンセサイザーとヴァイオリンの協奏。
自分自身もライブに出演できるよう、シンセはKYRA1台に留め、PCで制御しつつ、パフォーマーとしてリアルタイムにシンセのツマミやボタンを操作するという設定とした。
音源のヴァイオリンはネットでの長年の友人、Daniele Colomboさん。
こういうスタイルで、いろんな楽器・いろんな方と「共演」してみたいと思った。

スコア:
http://www.signes.jp/musique/mixtures/PegasusComponent/PegasusComponent_Score.pdf

ヴァイオリンパート譜:
http://www.signes.jp/musique/mixtures/PegasusComponent/PegasusComponent_Violin.pdf

シンセサイザーを制御するApple Logic X用のファイル:
http://www.signes.jp/musique/mixtures/PegasusComponent/PegasusComponent_Synth.logicx.zip

シンセサイザーのみの音源:
http://www.signes.jp/musique/mixtures/PegasusComponent/PegasusComponent_Back.mp3

以下、雑記

 今回の作品は、ヴァイオリンと「シンセサイザー」のための、と記してある。現代音楽のエレクトロニクスというとMAXというソフトを使う場合が多いらしいが、私はPCのDAW(Logic X)と、市販のシンセサイザーを用い、ポピュラーミュージックの形態を取ったわけだ。こういうのも「エレクトロ・アコースティック」と呼べるのかどうかよく分からない。
 今回のキモは、私自身が演奏者としてステージに上がり、ノートPCにつないだシンセサイザーのを操るという設定にある。デスクトップだけで、独りだけで完結しない音楽の「場」を想定したのである。登壇した私の身体はキーボードは弾かず(練習して巧くなったとしても絶対緊張して失敗するから避ける)ハードシンセの音色等に変調を加えるツマミを回したりボタンを押すだけだ。しかしDJのような存在を見ると、鍵盤を弾かずこのように機械をいじるだけでそれなりに見栄えはするようだ。
 2011年にエクアドルの前田ただしさん(vn)が「時の生成」を、2018年にロスのヴィッキ・レイさん(p)が「コンチェルティーノ」をコンサートで演奏してくださるという光栄に恵まれたが、この両者の公演の録画を見るとわずかに物足りなさを感じた。登壇しているのはアコースティック楽器の奏者一人で、私が作成したバックのトラックは、観客から見えないブースで操作されてどこかから聞こえてくるというだけ。その様子は、ローカルアイドルがオケを再生しながら歌っているのを見て「カラオケと同じだなあ」と感じてしまったのと同じ感覚だった。バックトラックを司る者が不在なので、何か欠如があるように感じられた。
 そういうことも考えて、このように、「私自身が登壇する」というセッティングに到着した。本当にライブに出演する場合、荷物が多くならないよう、シンセは1台のみとした。最近買ったWaldorf KYRAという結構高価な、最大8パートのマルチティンバー音源(バーチャルアナログ)である。
 しかしこのシンセはあらゆる音を鳴らせるわけではない。特に、ドラムキットが存在しない。バスドラムに似た音があるくらいだ。このシンセだけで、相方のヴァイオリン奏者が、リズムやタイミングが分かるように作らなければならない。このため、作曲に当たっては非常に制約が多く、「ここでこんな音もほしい・・・」と思っても思うようにならない場面がたくさんあった。
 それにKYRAは鍵盤がついていないからポータブルではあるものの、意外と重いから、やっぱりこれを持って旅行するのはつらいかもしれない。それならいっそのこと、DJコントローラーを使うことにして、音源はソフト音源も用いて自由自在に作成した方が良かったかもしれない。
 
 さてイタリアのヴァイオリニスト、ダニエレ・コロンボさんはこれまでも10年の長きにわたってネットで私にかまってくれて、私のヴァイオリン独奏曲はいつも演奏してくださってきた。今回もさすがの、闊達な演奏を送ってくれた。今回は私もシンセいじりの役で動画にも登場し、ついに二人の「共演」が実現できたわけだ。苫小牧とローマという、凄い隔たりを経て。

 



 一時期「あえて構成しない」手法を採っていた私は最近ではやはり「構築しよう」という方向に変わってきた。今回は途中でヘヴィメタルかダンスミュージックを彷彿とさせるようなリフが出てくる。これがしばしば出てくることで、最近よく聴くメタルを含めた洋ロックが示すような「様式性」を呈示した。
 全体は、システムの中に組み込まれたペガサスが、走り、跳ね、空を飛ぶ躍動を、メカニズムと情動性との絡みの中に込めた。
 また、聴く際に把握される音楽的分節的「モーション」を、要所要所でかなり意識的に形成しようと努めた。

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