item 弦楽四重奏曲、完成

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written 2011/10/29

 数ヶ月かけて初めての弦楽四重奏曲全4楽章がやっと完成した。
 
 自分はピアノ以外の楽器はピンと来ないし、DTMのみで音楽作るなら、実際の楽器をイミテートしても結局リアルさに届かないんだから、それなら最初からエレクトロニカみたいな電子音で構成した方がマシだ。
 しかし「弦楽四重奏」という西洋近代音楽伝統の、完成度の高いフォーマットには興味があった。4声の対位法として、ピアノよりはるかに自在・複雑な展開が可能だし、オーケストラの原形であるかのような豊かな表現力も狙えるはずだ。これはいつか書いてみたい編成だった。
「ピッチカート以外の特殊奏法は使えない」「自然なポルタメントもうまく表現できない」「アタックや強弱なども、実際の演奏に比べてはるかに劣ったプレイしか実現できない」など、所有しているコンピュータ音源の限界に由来する諸問題を押し切って、今回ついに、書いた。しかも4楽章からなる(私にしては)「大曲」。

 そういえば、クラシック演奏家に演奏可能な「ちゃんとした楽譜」については、ピアノ曲以外は今までほとんど用意してなかった。まあ、実際に演奏される見込みはゼロにしても、幾らかは楽譜を用意しておくべきではないか。クラシック演奏家、作曲家の中にはMP3なんかより譜面PDFを見て楽曲を評価する方もいるようだし、クラシック・スタイルで曲作るなら、やはり楽譜作成は必須と言える。作曲家の仕事とは、楽譜を書くことだからだ。チャールズ・アイヴズも演奏されるあてもなく楽譜を黙々と書きためていた。
 従って今回は、DTM音源として優れたMP3を作成することよりも、それらしい「楽譜」PDFを作成するのが目標だったとも言える。専用ソフトのFinaleは持っておらず、DAWのLogicで作っているが、これは自在に譜面作成出来るとは言えないので、完全な楽譜を作成することは、結局のところできないのだが。

 さて、今回の作品、もともと或る演奏会でハイドンの弦楽四重奏曲を聴いたのがきっかけなので、擬古典主義的な4楽章構成とした。
 第1楽章ではつい対位法的に悪のりしてしまって、フーガまでやってしまったが、これは自分としても少し古い様式であり、この楽章が「モダニズム的」であってあまり「現代的」でないことに、自分で悩んでしまい、後続楽章を書くのに迷いを生じた。
 しかし定型どおり叙情的な第2楽章、ゆるい遊戯としての第3楽章(これは結果的にメヌエットではないメヌエットになった)と進むにつれ、もっと「現代的」に聞こえるような「線の断続」の感覚を意図的に追求し、最後の第4楽章ではリフレイン部にクセナキス、メシアンの影響から出発しながらも、よりポップに、ロック風のリズム(ロンド形式ABACABAのB部分)まで採用してやっと「書くことの自由と快楽」を思い出したのだった。
 
 この曲が実際の楽器で演奏されたらどんな風になるか、聴いてみることができたら夢のようだが、まあそれは叶うことはあるまい。
 ともあれ、弦楽四重奏のスタイルで書くのはなかなか勉強になった。
 いずれこの編成で、今度は擬古典主義のスタイルにこだわらずリベンジしたいような気もしている。だがそれまでには、独奏弦楽器の特殊奏法がひととおり使えるソフト音源を、是非購入しておきたい。

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